今回はASPのリンクシェア・ジャパン株式会社様に会場を提供いただき、楽天タワーの広い会議室にて開催されました。
今年もUSTREAMおよびTwitterにてリアルタイムで中継が行われました。
◇主催 : 特定非営利活動法人アフィリエイトマーケティング協会
◇協賛
【ゴールドスポンサー】
インタセクト・コミュニケーションズ株式会社
【シルバースポンサー】
株式会社千趣会 ベルメゾンネット
【後援】
日本アフィリエイト・サービス協会
◇開催日時 : 2014年3月29日(土) 14:00-17:15
◇開催場所 : リンクシェア・ジャパン株式会社 7階会場
司会は協会副理事長の猪鼻が務め、同じく副理事長の森本の開会挨拶からスタートしました。
アフィリエイト市場は、2010年に大台の1,000億円を突破し、今も堅調に拡大傾向にあります。
スマートフォン、ソーシャル、アドネットワーク、O2O(Online to Offline)などは、かなり浸透してきました。
そして、ここ数年の傾向は「ネットでは売りにくい」と思われていた新商材が、注目を集めていることです。
たとえば、衣料品や靴などの試着が必要と思われていた商材や、日用品などの単価が低い商材が代表的です。
さらに、法律や制度の規制緩和という流れも見逃せません。
「健康食品や医薬品など」は、特に注目されている商材の一つです。
ただし、法律や制度の動向もしっかりと理解しておく必要も出てきます。
この点が、他の商材と大きく異なる点です。
そこで、今回の講演のテーマを「健康食品や医薬品に関わる薬事法対応」に設定しました。
そして、急速に普及するスマートフォン対応を、もう一つのテーマにしました。
最後は、恒例の開会宣言で締めくくりました。
ケンコーコム株式会社
執行役員 国内事業本部長
朝倉 大輔 様
2000年からEコマースで伸びてきたケンコーコム
ダイレクトメールでの健康食品通販会社からスタートして、2000年という早い時期に健康食品や医薬品、化粧品などの健康関連商品を扱うEコマース「ケンコーコム」を立ち上げました。
2004年にはマザーズに上場、現在は楽天の連結子会社です。
設立以来、品揃えを拡げ続け、現在では取り扱い商品は約20万点。
最も売れているのは洗剤やシャンプーなどの「日用品」で、次いで元々得意としていた「健康食品」。
「水・飲料」など、重くてかさばるものは届けてもらえると便利だと、よく買っていただいています。
「冷蔵品」などは扱わず、調味料や蜂蜜など常温で賞味期限が長い商品を取り扱っています。
後は「医薬品」、そして「化粧品」。
これら上位6カテゴリが、売上の75%くらいを占めています。
よく売れるのは、リアル店舗の販売前、販売後
リアルとネットでは売れ方がちがいます。
商品のライフサイクルで見ていくと、新しく商品が発売されたばかりの「立ち上げ期」はリアルの世界ではまだ売り上げが上がっていませんが、ネットでよく売れます。
全国で買える箇所はまだ少ない時期ですが、ネットでなら買えるからです。
また全国の店舗から商品が棚落ち(売れない商品が陳列棚から姿を消すこと)してしまったときに、数は少なくてもファンがついていることがあり、リアルでは買えなくてもネットでは買えることから、ネットでよく売れます。
ネットでは商品のライフサイクルの始まりと終わりでよく売れます。
テレビで紹介されると一気に売り上げが上がるので、仕入先やメーカーから情報を仕入れるように努めています。
今後難しくなる「送料無料」等の配送サービス
配送業者の値上げがニュースになっています。
たとえば4,000円の1注文の粗利率は約3割、1200円ていど、その半分くらいが配送業者に払うコストですから、その値上げは死活問題です。
EC事業者は方針転換が必至だと思います。
いままでは消費者の利便性を、EC事業者と配送事業者で負担してきましたが、それが限界に来ていて、まず配送業者から音を上げたわけです。
今後は「送料無料」、「当日配達」、「翌日配達」など、消費者がEC事業者に求めているサービスのありかたが変わっていかざるを得ないと思います。
利用者負担が求められるようになっていくのではないでしょうか。
ケンコーコムが今後拡大する医薬品販売は残念ながらアフィリエイト対象外
医薬品のネット販売は2009年6月に施工された改正薬事法により一旦は禁止されました。
しかしケンコーコムは医薬品のネット販売継続を求め、訴訟提訴、最高裁にて2013年1月勝訴して、現在ではOTC薬品(処方箋なしで購入できる薬品。以前は「一般用医薬品」あるいは「大衆薬」などと呼ばれていた薬)のほとんどがネット購入できるようになり、さらに処方薬のネット販売も求めてケンコーコムは国を相手に訴訟しています。
なお、処方薬のネット販売はあくまで処方箋を受け取ったうえでの販売です。
ケンコーコムでは医薬品販売に今後力を注いでいきますが、残念ながら、医薬品は購入者によるレビューやクチコミなども禁じられており、アフィリエイトはできません。
薬事法広告研究所
副代表 稲留 万希子 様
健食・化粧品・雑貨と薬事法の関係とは
アフィリエイターがブログなどで健康食品や化粧品を紹介するときも、薬事法は関係があります。
薬事法は「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」の4種について、安全性と、体への有効性を確保するための法律です。
たとえば「この健康食品を食べたら便秘が治りました」というレビューを書いた場合、「健康食品や雑貨はこの4種に含まれないため、「薬事法の世界に入り込むことをする」と薬事法違反に問われます。
「便秘が治る」は医薬品的効能・効果にあたることから、「薬ではないのに薬のようなふるまいをした」ことになり、無承認・無許可医薬品とみなされ、薬事法違反に問われる可能性があります。
一方、化粧品は薬事法の対象なので、書いていいことが決められており、また書く場合の書き方なども決められています。
従って、書いてはいけないことを書いた時点で薬事法違反に問われてもしかたありません。
薬事法には「認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない」と書かれています。
たとえば「健康食品は、何人たりとも、たとえ、それが事実だったとしても、医薬品的な効能・効果を標榜してはいけません」ということです。
「何人も」ということは、商品を作ったり売っている人に限りません。
「わたしはただのアフィリエイターだから関係ない」という理論は通用しません。
また条文には「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」とあります。
化粧品の場合も、「何人たりとも、たとえ、それが事実だったとしても、医薬品的な効能・効果を標榜してはいけません」。
広告の定義とは
薬事法がアフィリエイターに関わってくるのは、アフィリエイト活動が広告とみなされることが多いからです。
薬事法において広告は定義されています。
アフィリエイターが買ってほしいという気持ちを込めて書いていけば、1とみなされる可能性があります。
ふつう商品名を書くので2つめの条件も満たします。
Webページは誰でも見られるので3に該当します。
ですからアフィリエイト活動は広告のひとつであるとみなされます。
アフィリエイトをしていない、ただの個人ブログの記事の場合、たとえ「この商品を買ったら、すごくよかったの。おすすめするわ」と書いていても、アフィリエイトリンクがなく、対価(アフィリエイト報酬など)を得なければ、言論の自由の範囲内です。
実際アフィリエイト活動をしているブログ記事などはたくさんありますが、それをすべて取り締まれるかと言えば、取り締まれません。
それはスピード違反した人が全員捕まっているわけではないというのと同じです。
つまり、不適切な記事を書いていると、スピード違反でつかまることもあるように、いつ、薬事法違反での摘発が身に降りかかってくるかわからないということです。
健康食品が薬事法違反となる判断基準とは
経口摂取、つまり口から取り入れるものは、「医薬品・医薬部外品」いわゆる薬と、食品の2つに分かれます。
食品には消費者庁で許可を受けた特定保険用食品、いわゆるトクホと、栄養機能食品があり、それらに含まれないものはすべて一般食品です。
ということは健康食品は薬でもなんでもないので効果・効能はうたえませんし、なにかしら体の向上や改善に役立つとも言えません。
健康食品が薬事法違反となるのは医薬品と誤解されるような場合です。
医薬品と食品を区別する基準は昭和46年に出された通称「46通知」で、「成分本質」「形状」「用法容量」「効能効果」の4つが定められています。
「成分本質」というのは、医薬品として定められた成分は食品には使えず、使った時点で無承認医薬品と見られます。
そして「形状」。
ここまではアフィリエイターには関係ないですが、問題は次からです。
まず「用法容量」。
医薬品の場合、「1日3回食後に…」などと正しい飲み方を指導されます。
従って、いつ、どれだけ飲むかと書くと、医薬品と誤解されるため、そういう表現は許されません。
健康食品などでは「2、3粒を目安に…」などと限定しない書き方をしています。
そして4つめは「効能効果」。
病気の名前はもちろん、体が改善する、向上するなどは一切言えません。
たとえば美容系のサプリメントを「飲んだら、お肌がつやつやになりました」という記事はいけません。
深く追求すると、正直、何も書けません。
少なくとも、特に注意したいNGワードは使わないようにしましょう。
化粧品、薬用化粧品とは
化粧品は「体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で、皮膚等に塗布等するもので、作用の緩和なものをいう」と定義されています。
薬用化粧品は「医薬部外品」で、届出を出して認められた、医薬品と化粧品の中間の存在です。
どちらも表現できることは決められています。
守るべきルールは、通知や化粧品公正取引協議会の規約などを参照してください。
化粧品で言えることは56決められていて、それを逸脱することは一切言えません。
特に注意したい点は、「効能効果・安全性の保証の禁止」。
「安心して使えます」などと保証してはいけません。
「効能効果や安全性を示す体験談の不可」とされていて、表現可能な56の効能効果に関して、体験談を書くことは許されていません。
メーカーや販売者でなく、アフィリエイターであっても、たとえ事実であっても書けないことがたくさんあります。
「みんなも書いている」ことはなんの保証にもならず、まだ摘発されていないだけかもしれません。
言論の自由でなんでも書けるわけではないこと、ルールがあることをぜひ知って、意識してください。
質疑応答タイムから
「これは個人の感想であり、食品の効果を表したものではありません」というフレーズはよく用いられますが、 これは免罪符にはなりません。
その表現大丈夫? 30分で理解する!アフィリエイターのための薬事法講座 from NPOアフィリエイトマーケティング協会
協会 理事 野崎雷太
収入が増えた人が若干増加
主要ASP各社のアフィリエイト会員へのインターネット調査として実施しました。
今回は前回の2,345件より増えて、3,017件の回答が寄せられました。
時間の関係もありすべては紹介できないので、今回は4つのテーマに関する調査結果を紹介します。
最初のテーマは、経験年数、アフィリエイト収入に関する調査結果です。
経験年数に関しては、これまでと比率に差はありませんでした。
ひと月のアフィリエイト収入も大きくは変動ありませんでしたが、5,000円未満の方が昨年は66.4%だったのに対して、今年は55%ほどで、若干減り、収入が増えた人が増えた印象があります。
収入属性と、アフィリエイト収入の去年との比較をクロス集計すると、収入の多い層のほうが「収入が増えた」人が多いことがわかりました。
収入が増えた理由は「サイト数を増やした」「記事数を増やした」「作業量を増やした」「取り扱う商材を増やした」「検索結果で上位表示」など、すべてアクセス数が増えたことでした。
逆に収入が減った理由は「検索順位が下がった」「更新頻度が下がった」などアクセス数が減ったことが理由に多くあげられていましたが、「広告主が撤退した」「報酬率が下がった」などの理由もありました。
収入の多少で異なる、満足度の高いASP
2つめのテーマは、ASPの利用状況・満足度に関する調査結果です。
複数回答で利用しているASPを聞いた結果、1位はエーハチネット2,270件、2位はバリューコマース1,644件で、1位のエーハチネットは回答者の75%が利用していました。
収入属性とのクロス集計で見ると、利用者数が上位のエーハチネット、バリューコマース、楽天アフィリエイト、Amazonアソシエイト、リンクシェアの5ASPは、「収入はない」「1,000円未満」「1,000円以上?5,000円未満」の3つで約半数を占めています。
しかし利用者数下位のアクセストレード、Affiliate-B、ジャネット、TGアフィリエイト、電脳卸は月の収入5,000円未満の割合が若干少なく、それ以上の収入がある層がやや多い傾向が見られます。
満足度の高いASPを1位から3位まで書いてもらったアンケートで最も多く1位に選ばれたASPはエーハチネットでした。
回答者の1/3以上に当たる1,081件がエーハチネットを1位にえらびました。
収入属性とのクロス集計で見ると、収入の多い層と少ない層では満足度の高いASPにちがいが見られます。
エーハチネットを1位に選んだ理由を自由回答で答えてもらったアンケートでは、管理画面が使いやすいとか情報量が多いとか軽い、そして広告主が多い、セルフバックが充実しているといった意見が多く見られました。
バリューコマースを1位に選んだ理由としては、広告主に関して「信頼できる広告主が多い」「掲載したくなる広告主が多い」「Yahooがある」「独自の広告主がある」など、管理画面に関しては「リニューアルしてよくなった」「軽くなった」「使いやすくなった」、担当者の「対応が早い」、「丁寧、親切」、「相談しやすい」などの声があがりました。
Affiliate-Bを1位に選んだ理由では、担当者を特定の個人名をあげてほめる声などがありました。
消費税が外税であること、管理画面の良さに触れる声もありました。
リンクシェアを1位に選んだ理由では、1円からの支払い、管理画面の充実や使いやすさ、などもありましたが、ECサイトに関して「ベルメゾンがあるから」など有名企業が多いことや信頼できることをあげる声が多く、イベントや勉強会の種類が多く魅力的で他のASPと異なるイベントが多いとする声も目立ちました。
ASPに求めるものは、例年通り、「魅力的なECサイトの獲得」「管理画面の使いやすさ」「システムの安定運用」が3大回答です。
全般に収入が少ない層は小額から支払われることを重視し、収入が多い層では問い合わせに対するすばやいサポート体制に重きを置く傾向が見られました。
急激に増えているスマートフォン所有と対応サイト
3つめのテーマは、スマートフォンに関してです。
スマートフォンの所有についてたずねるアンケートは2年前から実施していますが、2年前は「持っている」が37%、昨年が58.8%、今回は69%と、かなりのペースで増えています。
スマートフォンに対応したアフィリエイトサイトを「持っている」が2年前は19%、昨年が32%、今回は47%と、こちらも急激に伸びています。
収入属性とのクロス集計で、やはり収入が多い層ほどスマートフォン対応をしているという結果が出ています。
運営サイトへのデバイスごとのアクセス数の比率をたずねたアンケートでは、PCのほうが多いという回答がおよそ60%で、スマホのほうが多いという回答がおよそ20%ありました。
個人的にはスマホ経由がもっと多いと思っていましたが、全体では20%ていどでした。
「わからない」という回答も19%で、せっかくGoogleAnalyticsなど無料のアクセス解析ツールがあるのでそれを活用してくれたらいいのに…と思いました。
運営サイトへのデバイスごとのアクセス数の比率と収入属スマートフォン対応できているサイトを持っている人にとっては、スマートフォン経由のアクセスが50%近く性のクロス集計では、収入が多いほどスマートフォン対応していることもあり、なってきているようです。
求められているのは不正是正と連携強化
4つめのテーマは、その他の調査結果です。
自己アフィリエイト、エーハチネットの「セルフバック」、バリューコマースの「バリューポイントクラブ」などの利用についてたずね、収入属性とのクロス集計を見たところ、個人的にはこういうサービスは収入が少ない人だけが利用するものと思っていたのですが、どの収入属性でも、利用者が半数いました。
ECサイトのキャンペーン情報をどうやって取得しているかについては、提携サイトやASPからのメール配信が多く、次いでASPの管理画面内の告知が多く、TwitterやFacebookなどのSNSは少なかったです。
収入属性のクロス集計では、どの層もメールや管理画面で情報取得していますが、収入が多い層では担当者から連絡が多いことがわかります。
アフィリエイトサイト運営にかける時間に関して、収入属性とのクロス集計で、当然ながら収入が多い人はサイト運営にかけている時間が長いという結果が出ています。
2014年にアフィリエイト広告を掲載したいと思う企業・サービスに関して自由回答で答えてもらったところ、カテゴリでは美容、健康、化粧品、旅行、転職、資格、ファッション、金融・保険、自動車があげられ、企業やサービスとしては、ユニクロ、無印良品、楽天市場が根強い人気です。
アフィリエイト業界がさらに発展するための 提言を「ズバリ一言」でと聞いたところ、例年どおり、不正行為の是正を求める声が多く、広告主に対しては非承認の多さへの不信感が根強くあり、承認率の公開や承認プロセスの可視化を提言する声が多くありました。
アフィリエイターに対してはステマ行為やスパム行為があげられています。
知識・意識の向上の必要性をあげる声も多く、広告主に対しては、アフィリエイトへの理解度を高めることや、もっとアフィリエイターを大切にという意見が、アフィリエイターへは法令順守やプロ意識を求める声が多く見られました。
全体的には、ASPと広告主とアフィリエイターの連携強化を求める声が強く、「思いやり」「信頼関係」「Win-Win-Win」というキーワードがあげられていました。
またもっと多くの広告主にアフィリエイトマーケティングに参入してもらいたいという声も多くありました。
株式会社コミュニティコム 代表取締役
コワーキングスペース7F 代表
星野 邦敏 様
2004年頃からサイト運営、2006年頃からアフィリエイター、2012年からコワーキングスペース「7F」も運営しており、「WordPress日本語公式サイト」の運営やWordCamp運営に関わり、WordPress関連の著書も多い。
スマートフォン対応方法はレスポンシブが基本
WordPressの場合、管理画面で一度設定するだけで、それぞれの端末(デバイス)、つまりPCやスマートフォンに最適な表示をしてくれますので、収益の機会損失をなくすことができます。
デバイス、つまりPCなり、スマートフォンなりの表示横幅によって、PCサイトとスマートフォンサイトそれぞれに合わせて、画面サイズを変えて対応させるという方法がひとつ考えられます。
そのほかにアクセスするデバイスの情報「ユーザーエージェント(UA)」をサーバ側が読んで、デバイスに合わせて見せるサイトを変え、かつ表示する広告も変える方法もあります。
また横幅でサイトは変え、表示する広告はUAで振り分ける方法もあります。
スマートフォン対応はひとつではありません。
その中で結局どれが一番いいのかをまずお伝えしたいと思います。
GoogleのWebマスター向け公式ブログにおいては、2012年6月に、スマートフォンに最適化したサイトの構築方法として、デバイスの表示横幅で表示のしかたを変えるレスポンシブ・ウェブデザインが推奨され、いまはそれが一般的な方法となりつつあります。
なお、レスポンシブ・ウェブデザインとは、すべて同一のURLで、すべてのデバイス共通のHTMLを用意して、CSS3のメディアクエリ(画面サイズなどに合わせて、スタイルシート内に適用するデザインなどを細かく指定できる仕組み)でデバイスに合わせて見た目を切り替える手法です。
Googleがレスポンシブデザインを推奨する理由は明快だと思います。
レスポンシブで作ると、HTMLのソースコードはすべて単一であるため、検索エンジンが見つけやすいのだと思います。
ユーザーエージェントで切り替える場合には、極端な話をすれば、全くちがうサイトを見せることができるわけですから、PCで見たらまともなサイトなのに、スマートフォンで見たらアダルトサイトというサイトもできますし、技術的にはソースコードを隠して作成することも可能です。
だからレスポンシブを推奨しているのかなあと推測しています。
基本的にはレスポンシブで作るのがいいのですが、広告バナーなどは通常自動的にPC用とスマートフォン用が切り替わりませんので、そこだけユーザーエージェントで切り替えていくといいでしょう。
WordPressを使ったスマホ対応
具体的にWordPressでどうやってスマホ対応するか、その方法をご紹介します。
レスポンシブ・ウェブデザイン(Media Queries)にする場合は、対応したWordPressのテーマがたくさんあるので、それを当てはめれば、スマートフォン対応できます。
WordPressのテーマとは、デザインを変えるためのモノで、見た目の調整だけでなく、表示する内容を操ることもできます。
管理画面からも検索できて、選んだテーマをインストールすることで、そのテーマが当てはめられます。
そのデザインを少し変えたりすることもできます。
たとえば「さいたまスイーツバル」はテーマ「BizVektor(ビズベクトル)」を当てはめて、少しカスタマイズしただけです。
次にユーザーエージェントによる振り分けをする場合は、いろいろな方法がありますが、たとえば「iPhone theme switcher」というプラグインを入れれば、iPhoneから来たらiPhone用のテーマ、iPadから来たらiPad用のテーマ、Androidから来たらAndroid用のテーマを見せることもできます。
さらに、少しPHPの技術的なお話をします。
これを知らなくてもスマートフォン用の広告バナーを入れることはできるのですが、これを知っていると、より柔軟な場所に入れられます。
WordPressには、wp_is_mobileという関数があり、パソコンから来た場合とスマートフォンから来た場合に表示する広告を変えることはもちろん、アンドロイドから、Kindleから、Opera Miniからとか来た場合、それぞれの場合に、条件分岐タグを使って、異なる広告を見せることも可能です。
PHPのタグなどはわからない方は、わからなくても使えるプラグインもあります。
後藤健二さんが開発したプラグイン「ytbd change the display in PC and smartphone」を使えば、PC表示用の部分にPC用広告バナーを入れ、スマホ表示用の部分にPC用広告バナーを入れれば、レスポンシブに関係なく、デバイスごとに切り替えてくれます。
WordPressではプラグインで機能追加をして見せ方を変えることが可能です。
このような表示の自動振り分けができないと、サイトに「PCの方はこちら」「スマートフォンの方はこちら」とそれぞれ用のリンクを並べて貼らなければならず、クリックしてもらいづらくなります。
別のURLでPCサイト、スマホサイト、ガラケーサイトを作るのも手間がかかりますし、ミラーサイトのようになる危険もあります。
このほかに、スマートフォンに自動対応するプラグインも存在します。
「WPtouch」というプラグインを使えば、昔、作ったウェブサイトも、デザインはそのままで簡易にスマートフォン対応ができます。
基本的にはレスポンシブ・ウェブデザイン対応のWordPressテーマでサイトを作成し、各種バナーなど可変サイズに対応できない部分の振り分けは、WordPressの条件分岐タグ「wp_is_mobile」関数を使ったり、プラグイン「ytbd change the display in PC and smartphone」を入れるといいかと思います。
ユーザーエージェントで切り替える方法も完全に否定されているわけではありませんから。
スマートフォン用アフィリエイト広告
従来の埋込型の広告は「インライン広告」です。
それに対して、スクロールしてもついてきて、常に表示される広告を「オーバーレイ広告」と言います。
たとえばバリューコマースのスマートフォン広告のオーバーレイ広告をBODYタグの一番下に貼ると、オーバーレイ広告ができます。
PCから見た場合にはオーバーレイ広告は出ず、スマートフォンから見るとオーバーレイ広告が表示されるようになっています。
ファンコミュニケーションズのスマートフォン向け広告配信サービス「nend(ネンド)」の広告バナーは指定のヘッダタグの中に埋め込むと、同じような仕様になります。
スマートフォン用アプリ
スマートフォンから投稿できるアプリがあります。
このアプリはオープンソースなので、たとえばロゴを変えるだけなど少し変えて自分のアプリとして公開することもできます。
またアプリを作成して、それをGooglePlayやiTuneに登録、一度端末にインストールしてもらうと、Web上のSEOとは関係ない、別のフィールドで戦うことができます。
そのアプリを常に使ってもらえるようになれば、その中で広告を見せられます。
またWordPress自体をデータベース化して、入れたデータをAPIとして公開して、そのデータをネイティブアプリのほうに持ってきて、ネイティブアプリとして公開すれば、WordPressでウェブサイトを更新しつつ、ネイティブアプリのほうでもSEOやソーシャル連携(Facebookなどのソーシャルネットワークからの集客など)に関係なく広告の成果をあげることができます。