2009年12月5日(土)、アフィリエイトマーケティング協会主催の第9回アフィリエイト・カンファレンスが、一年前に行われた第8回と同じベルサール三田(東京都港区)にて開催されました。
前年秋以来の不景気の中、多くのスポンサーの協賛と、日本アフィリエイト・サービス協会の後援をいただき、さらにアフィリエイターのみならず、ASPやECサイトもスタッフとして運営を支えてくださって、充実した会となりました。
◇主催 NPO法人アフィリエイトマーケティング協会
◇協賛
【プラチナスポンサー】
インタセクト・コミュニケーションズ株式会社【法人正会員】
株式会社フルスピード【法人正会員】
【ゴールドスポンサー】
株式会社ピュア・メディカル
【シルバースポンサー】
サントリー酒類 株式会社
株式会社エスプリライン
株式会社学文社
株式会社千趣会
森下仁丹株式会社
【後援】 日本アフィリエイト・サービス協会
◇開催日時 2008年12月5日(土)13:55〜16:35
◇開催場所 ベルサール三田
≪プレゼンター≫
株式会社ネットマーケティング
代表取締役 C.E.O 宮本 邦久 氏
アフィリエイト業界を、広告主の戦略立案や運用支援の役割を担うエージェントの立場で見てこられた宮本氏に、アフィリエイト・マーケティングの今後について語っていただきました。 宮本氏が掲げられたテーマは2つ。現代の「攻める」アフィリエイト、そして現代の「守る」アフィリエイトです。
アフィリエイト集客の次なるステージ
宮本氏はまず、現代アフィリエイト広告の構図を掲げて、広告主、ASP、そしてPS(パートナーサイト=アフィリエイター)の関係について解説しました。
不景気で、巣籠り消費が常用化している現在、広告主はライフタイムバリュー(※1)とROI(※2)の最大化を志向し、広告費の投入はテレビ、新聞、雑誌、ラジオというメディア4媒体からWEB広告へ、中でも費用対効果の高いアフィリエイトマーケティングへとシフトしています。
広告主はASPに詳細なレポートという、ROI分析材料を提供することを求め、広告主はASPと販売戦略を共有しています。
ASPはパートナーサイトに対して掲載ルールの管理をすると共に、広告主の販売戦略や集客手法を共有しています。
広告主はパートナーサイトの特性や特徴を理解することが大切であり、パートナーサイトはそれに応えて優良顧客を送客します。
これが広告主、ASP、パートナーサイト3者の関係であり、アフィリエイトマーケティングに期待されているのは集客です。
次にアフィリエイトマーケティングによる集客の変遷を見ていきます。
導入期には、新規消費者層が増え、既にリーチされた消費者層、つまり既存客、リピーターによる購買も伸びるので、売上高も顧客の獲得量も急伸します。
安定期に入ると、売上高も獲得量もなだらかに推移、売上高と件数量の純増、上積みが見込みにくくなっていきます。
ここでさらに伸ばしていくには、パートナーサイトのさらなるCVR(コンバージョン率)(※3)の向上と、モバイル市場への参入、拡大が求められます。
そしてアフィリエイトマーケティングは価格競争を避けて、ROI(※2)を追求した筋肉質なネットワークへと進化していきます。
※1 ライフタイムバリュー
日本語に訳せば、顧客生涯価値。 個々の取引から得られる利益の最大化を目指すのではなく、顧客のロイヤルティを高め、ライフタイムバリューを高めていくことに価値があるとする考え方に立つ言葉です。
要するに、目先の取引での儲けにとらわれずに、一人の顧客が生涯の間に、自社にもたらしてくれる利益を考えて、顧客を大事にして、ファンになってもらおうという戦略です。
※2 ROI
return on investmentの略で、投資回収率などと訳されます。
ROIの最大化とは、投資からできるだけ多くの利益を生み出そう、費用対効果を高めようという志向です。
※3 CVR(コンバージョン率)
広告をクリックしたユーザーの内、何割が商品購入や資料請求などの成果に結びついたかを見たもの。
成果になった件数をクリック数で割って計算します。
PCアフィリエイト成長のキーワードは「ロングテールに潜る」
宮本氏は、特にパートナーサイト(アフィリエイター)に特に向けて、パソコンサイトのアフィリエイトマーケティング市場で「攻める」戦略について語りました。
会場のアフィリエイターが身を乗り出して聞いた部分です。
パソコンサイトのアフィリエイトマーケティング市場はレッドオーシャン、すなわち激しい競争が展開される既存の市場であり、そこにおいて勝っていくためのキーワードは「ロングテールに潜る」。
ビッグキーワードは既に競合サイトが多く、SEOも効果を発揮しにいですし、リスティング広告の入札は高騰しています。
宮本氏によれば、いま売上を伸ばしているアフィリエイターは、たとえば「アラサー」などのターゲット属性や、「たまご肌」など市場でフォーカスされている ロングテールの、自分が得意なキーワードに特化しています。
そして、そのキーワードで集客するのみならず、そのキーワードにマッチしたランディングページ (LP)(※4)を作って、コンバージョン率を高め、確実に成果に結びつけています。
※4 ランディングページ(LP)
広告や検索結果ページからのリンク先ページ。訪問者が最初に見るページ。
モバイルアフィリエイト成長のキーワードは「未開拓市場への参入」
モバイルアフィリエイト市場はブルーオーシャン、すなわち、まだ競争の少ない、無限の可能性を秘めた市場です。
宮本氏によれば、広告主は既存マス4媒体からアフィリエイトにシフトしていますが、2009年は特にモバイルの予算を増やしています。
しかし、モバイル専門サイトはまだ少なく、アフィリエイトサイトも、ポイントサイトなどが多いのが現状であり、質の高い集客ができる、質の高いパートナーサイトはまだ不足しています。
PCアフィリエイト市場ではあふれている比較サイトや、専門サイトは、モバイルにおいてはまだわずかです。
いまが参入のチャンスです。
一方、広告主はモバイルのパートナーサイトに疑心を抱く傾向にあり、ASPが適切なサイト管理体制を明確にしたり、サイトごとの詳細な分析レポートを出すなどして、その疑心を払拭する必要があります。
不正排除で「守るアフィリエイト」
しっかり「攻める」 ためには、しっかり「守る」ことが必要です。
リスティングNGワードを購入したり、不正表記による申し込み斡旋をする、未登録の闇サイトに広告を掲載するといった不正を行っているパートナーサイトはわずかですが、その存在がアフィリエイト業界に与える影響は小さくありません。
限定したパートナーサイトのみに広告を開示するクローズドの運用をする広告主が増加傾向にあり、10%にも満たない不正サイトのために、掲載できる広告数は激減してきています。
健全なパートナーサイトの成長過程を妨げることになってしまいます。
アフィリエイト運用においては、いま、目視によるサイトパトロールが欠かせない状況です。
不正サイト排除は、ECサイト、ASP、パートナーサイト、みんなで取り組まなければなりません。
アフィリエイトマーケティング協会でも、「DO THE RIGHT THING!不正に負けないアフィリエイト!」キャンペーンを行うなど、この問題を重視しています。
≪パネラー≫
株式会社ウェブシャーク
WEBマーケティング部
部長 岸村 大安 氏
株式会社トラフィックゲート
営業部 アカウントプランニング局
局長 秋山 尊久 氏
バリューコマース株式会社
マーケティング部
部長
田中 亜紀子 氏
株式会社ファンコミュニケーションズ
A8事業部 コンサルティング部
部長 横澤 拓郎 氏
株式会社フルスピード
メディアネットワーク部
副部長 木原 実 氏
リンクシェア・ジャパン株式会社
マーケティング&ソリューションユニット統括部
ヴァイスプレジデント 下 浩子 氏
ASP各社のパネラーに、司会進行を努める協会理事長、柴田がズバリと切り込む質問を投げかけ、「オフレコ」の断り書き付の発言も多く飛び出した、充実のパネルディスカッションでした。
公開できる一部発言をご紹介します。
カリスマアフィリエイターは熱意が違う!
複数のパネラーが口にしたのが、カリスマアフィリエイターの熱意や研究熱心さでした。
こだわりを持ち、儲けるためというよりも、その商材の魅力を伝えて行きたいという、熱意を持っています。
またリスティング広告などに資金投下するなどのリスクを取って、トライ&エラーを重ねて、検証をしています。
自力では不足する部分に関しては、電話でアポイントを取った上で、直接、会社を訪問して、今後の売れ筋などについて突っ込んで聞いていくアフィリエイターもいるそうです。
優良アフィリエイターになる方法とメリット
優良アフィリエイターになれば、広告主側が直接、個別指名などして、特別条件やサンプル提供などを得られます。
当然、適正な方法で実績を上げることが、優良アフィリエイターになるための条件です。
しかし、有名ECから注目を浴びるのはなかなか難しくても、無名のECのプログラムで、特に始めて間もない時期になら、数件の成果をあげただけで注目してもらえます。
いろいろな点で異なる、携帯とPC
常に持ち歩く携帯とPCでは購入の仕方も異なります。
たとえば旅行予約の場合、モバイルは今日泊まるための予約など「今」を購入、それに対して、PCの場合は数ヵ月後の旅行など「未来」を購入する傾向があります。
またモバイルはPCに比べて、コンバージョンも高い一方、キャンセル率も高めです。
購入単価は「モバイルは安い」イメージがあります。
確かにPCに比べれば低めですが、それほど極端に低くはありません。
協会理事 野崎雷太
「アフィリエイト・プログラムに関する意識調査 2009」の調査・分析結果の一部を、協会副理事長の野崎より発表させていただきました。
一般のASPパネルと、ベテランが多いAMAパネルに分けて分析
今回は、ASP各社のアフィリエイト会員へのインターネット調査(1,103サンプル)で得られたASPパネルの結果と、アフィリエイトマーケティング協会および当カンファレンス参加者へのインターネット調査(65サンプル)で得られたAMAパネルの結果に分けています。
アフィリエイト・プログラムの経験年数は、ASPパネルの場合、1年未満が45%と半数近く、3年以上は26%に過ぎませんでしたが、AMAパネルの場合、1年未満は17%と少なく、3年以上は59%と6割近くもいて、ベテラン中心という属性が見えます。
それを反映して、アフィリエイト収入も、ASPパネルの76%が「月5,000円未満」であるのに対して、AMAパネルは「月5,000円未満」は41%と少なく、ASPパネルでは6%しかいなかった「月10万円以上」が、AMAパネルでは25%もいました。
知っているASP、利用ASPも少ないASPパネル
聞いたことがあるASP、利用したことがあるASPについてたずねたところ、ASPパネルでは聞いたことがあるASPも、利用したことがあるASPも限定されていて、AMAパネルは多いという結果が出ました。
また利用したことがあるASPについて、どちらのパネルも2位は2位が楽天アフィリエイト、3位がAmazonアソシエイトと同じなのに、1位はASPパネルがエーハチネット、AMAパネルはリンクシェアと異なっていました。
ASPパネルとAMAパネルで異なる、今後活用したいジャンル
今後活用したいジャンルに関しても、2つのパネルでちがいが出ました。
ASPパネルでは1位の書籍・雑誌、4位のCD・DVDは、AMAパネルでは5位以内に入っていません。
一方、AMAパネルで1位だった旅行、3位だった 資格・教育は、ASPパネルでは5位以内に入っておらず、稼いでいるベテランアフィリエイターと、初心者アフィリエイターが注目するジャンルのちがいがくっきり出ました。
8割がブログを活用
どちらのパネルも、8割以上がブログを利用していました。
しかし、ASPパネルではブログが主サイトである率が高く、副サイトという答えは30%だけ。
対して、AMAパネルは、ブログを副サイトと答えた率は43%にも及びました。
ベテランは携帯アフィリエイト利用者も多く 携帯サイトでのアフィリエイト利用についてたずねた結果、ASPパネルでは利用しているケースは18%に過ぎなかったのに対して、AMAパネルでは40%が利用していました。
しかし、携帯サイトを主サイトとする率は、AMAパネルでは少なく、副サイトという答えが85%と圧倒的でした。
ベテランは多くのサービスにチャレンジ
リスティング広告、Webサービス、レビューアフィリエイト、いずれもAMAパネルのほうがASPパネルよりも高い比率で利用していました。
アフィリエイトの不満に関しては、両者共に、最も多かった回答は「収入が思うように伸びない」でした。
アフィリエイトのメリットは収入
アフィリエイトのメリットに感じることに関しては、両パネルとも、「自分のサイトから収入を得ることができる」が一位でした。
ただ自分にとってのアフィリエイトの位置づけで、「生活のための主要手段」という答えの比率がAMAパネルは、ASPパネルの2倍以上もありました。
ASPパネルのお気に入りASPはエーハチネット、AMAパネルはリンクシェア
満足度の高いASPについて調べて結果は、ASPパネルとAMAパネルで大きく異なっていました。
ASPパネルでは1位がエーハチネット、2位が楽天アフィリエイト、3位がAmazonアソシエイトに対して、AMAパネルでは1位がリンクシェア、2位 がバリューコマース、3位がエーハチネットという結果でした。
それぞれを選んだ理由についての自由回答もなかなか興味深いものがあるので、ぜひ、発表資料 を見てください。
2009年のアフィリエイトは?
2009年のアフィリエイト業界を、「一言で!」で表してもらったところ、特徴的な意見としては、「淘汰」、「イメージアップ」、「選択と集中」、「不正排除」、「モバイル」などの言葉が並んでいました。
懇親会 懇親会にも多くの方が参加くださり、抽選で決められた席で、新しい出会いを楽しんでいました。
当日の様々な写真も公開されていますので、ぜひこちらもご覧いただければと思います。