アフィリエイトカンファレンス

第8回アフィリエイト・カンファレンスレポート(2008年12月15日)

 

オフィスビル立ち並ぶ田町の中でも、一際目立つ赤い壁とガラスのコンビネーションのビル、ベルサール三田(東京都港区)。

ここで、2008年12月15日(土)、アフィリエイトマーケティング協会主催の第8回アフィリエイトカンファレンスが開催されました。

受け付けは午後1時20分開始でしたが、早い方は午後1時頃には来場。
開始時刻の午後1時50分には、約300人の参加者たちで広い会場が埋め尽くされていました。

冒頭のアフィリエイトマーケティング協会副理事長、森本からの挨拶にもあったように、参加者もわずか数十名だった第1回からは隔世の感があります。

今回のカンファレンスは、二十名ものアフィリエイターをはじめとするボランティアスタッフが運営をサポート。
さらにはASPとECからはご協賛いただきました。

アフィリエイト業界はEC、アフィリエイター、ASP、三者の協力なしには成り立ちません。
カンファレンスも三者の協力によって、盛大に開催 することができました。

◇主催 NPO法人アフィリエイトマーケティング協会

◇協賛

【プラチナスポンサー】
株式会社アドウェイズ
株式会社インタースペース
インタセクト・コミュニケーションズ株式会社
株式会社ウェブシャーク
ケンコーコム株式会社
株式会社トラフィックゲート
株式会社ネプロアイティ
株式会社フルスピード
楽天株式会社 リンクシェア・ジャパン株式会社

【ゴールドスポンサー】
株式会社IMJモバイル
株式会社ビービーエル

【シルバースポンサー】
株式会社アイン
株式会社エスプリライン
株式会社学文社
株式会社千趣会
ソネット・メディア・ネットワークス株式会社
ティーライフ株式会社
株式会社ディーエイチシー
株式会社東急百貨店
株式会社ニッセン
保険マンモス株式会社
株式会社ムトウ

◇開催日時 2008年12月15日(土)13:50〜16:40
◇開催場所 ベルサール三田

【第一部】 「成功するSEO 2009」

≪講師≫

株式会社アイレップ
取締役 SEM総合研究所
所長 渡辺 隆広(わたなべ たかひろ)氏

検索エンジンでの順位に一喜一憂、SEOに頭を悩ませるアフィリエイターは少なくないでしょう。
SEOの草分けである渡辺氏が、SEOに関して、さまざまな判断が自分でできるようにと、SEOの本質について解説してくださいました。

検索エンジン側の視点から見よう

まず渡辺氏は「SEOの情報収集に当たって、アメリカの文献に当たっているひとは?」と会場に質問を投げかけました。
手を上げたひとはごくわずか。
そんな過程の中で、検索エンジン自体の「ふらつき」等もあり、たまたま順位が下がってゆくこともあります。
順位が下がった場合でも、現象がはっきりするまでまずは何もせず「何が起きているのか様子を見る」ということが、SEO専門の方々の世界でも重要だそうです。

その上で、しばらくたっても回復しない場合には、「上位のサイトとして、ふわさしくないものを除去」したりスパムととらえられるような「やりすぎたSEO部分の除去」を行うなどの動きをするようアドバイスいただきました。

アメリカではSEOの情報は検索エンジンの開発側を理解したうえで発信していることが多く、検索エンジンのカンファレンスで、ヤフーの検索エンジン 開発者が講演することもしばしばあります。

それはサイト運営者にスパムをやってほしくないと同時に、検索エンジンがコンテンツを理解したり、ページの価値 を理解しやすいようにしてほしいからです。

これに対して、日本では、SEOの情報は検索エンジン側の視点に立たず、検索結果の変動などの起きた事象から考えた、小手先のテクニックが多いそうです。
そのために、冷静に検索エンジン側の視点から見ればありえないことを勝手に考えて、変なテクニックに走ってしまう場合が少なくありません。

検索エンジンは、検索する人が求めている情報を見つけられるようにすることを目指しています。
ですから、SEOにおいては、レリバンシー、すなわちキーワードと検索結果の関連性や適合性が何より重要です。
このことを踏まえて、検索エンジン側の視点から考えれば、訪問者と検索エンジンの両者と、互いに利益になる関係を作ることが最も適切なSEOであることがわかります。
渡辺氏は、さまざまな例をあげながら、このことを強く語りました。

企業とアフィリエイター、どちらがSEOで有利?

多くの場合、アフィリエイターのほうが有利だそうです。
ときに企業は、結果的にSEOで有利になる場合があります。 たとえば新製品などのプレスリリースを出した場合、ブロガーはその新製品の記事を書くと、このプレスリリースにリンクを張ります。
その結果、検索エンジンは企業のサイトを高く評価します。
企業はSEOのためにプレスリリースを出したわけではありませんが、通常のマーケティング活動がそのまま検索エンジンからの評価が上げるという点では、企業は有利です。

しかし、企業においては、社内ルールや社内でのキーワード競合など、さまざまな制約があるため、SEO的に最適なことができないことがしばしば。

アフィリエイターの場合は、どんなコンテンツを作るか、どんなツールを使ってサイトを作るか、基本的にすべて自由です。
ただ、その結果、渡辺氏の目には、しばしばアフィリエイターは楽をしようとしすぎて小手先のテクニックを追い求めたり、自分のサイトというデジタル資産を大事にしていないように見えるとのことでした。

検索エンジン視点から見れば、ありえない小手先テクニック

渡辺氏は、多くの例をあげて、SEO都市伝説のまちがいを指摘されました。
たとえばヤフーが検索エンジンの結果に、ヤフーショッピングを表示するようになると、「ヤフーショッピングに出展していないと不利」とか、「アフィリエイター排除」と受け取るひともいます。

しかし、検索する人の利便性を重視する検索エンジンの側の視点に立てば、そんなことはありえません。

また、検索エンジンにおいて、コメントがついている記事や、商品のカスタマーズレビューがついているページの価値が上がったとき、あわてて「コメント欄をつけなければ…」とか、「カスタマーズレビューを用意しなければ…」と考えがちです。

しかし、企業の会社概要ページのように、コメント欄やカスタマーズレビューがあっても意味がないページがありますから、コメント欄などがないと不利になることなどもありえません。

ソーシャルブックマークが多いページは価値が上がるなどということもありません。
確かに検索エンジンの開発者の間で、それが検討されたことはあったそうです。
しかし、コメントをつけようと思う記事をブックマークしたり、記念ブックマークすることもあるので、ブックマークが多ければ、そのページは価値が高いとは言えません。

最新の話題として取り上げられたのは、「SearchWiki(サーチウィキ)」でした。

検索結果に表示されるページの検索順位を変更したり、新たにページを追加・削除したり、コメントを追記できる機能で、ユーザーが自分で検索結果をカスタマイズできる機能です。
各ユーザーによる検索結果の変更が、一般の検索結果にも反映されるのではないかという推測もあります。

しかし、ユーザーはそれぞれ自分の都合だけでカスタマイズするので、それがページの価値と結びつくとは限らないので、それはありえないでしょう。

渡辺氏は繰り返し、検索エンジン側の視点に立てば、さまざまな事柄について、自分で判断ができることを強調されていました。

検索エンジンの考え方で異なる検索結果

レリバンシー、キーワードと検索結果の関連性を、検索エンジンがどう考えるかで、検索結果は異なってきます。
その例として、ヤフーとグーグル、それぞれの「女子アナウンサー」、「キャッシング」の検索結果を取り上げられました。

ヤフーではテレビ局や消費者金融などの企業が上位表示され、グーグルは女子アナウンサーに関する情報を集めた個人サイトや、キャッシングの比較サイトが上位表示されます。

これは、ヤフーは検索する人が本家サイトを求めていると考え、グーグルは情報が集まっているサイトや、より良いキャッシングを見つけるための情報があるサイトが求められていると考えているからです。

検索結果で乱高下する理由

渡辺氏が、今年、一番多く受けた相談は「ヤフーで順位が落ちました」。
一方で、検索結果で乱高下しないサイトもあります。
たとえば本のタイトルで検索したとき、ほとんどの場合、トップはアマゾンです。
それは長年変わりません。

SEOは、そのサイトの過去の資産の評価なので、他の条件が変わらなければ、1年運営しているサイトよりも、5年運営しているサイトのほうが有利です。
変な小手先のテクニックに走らず、誠実にサイトを運営し続けてください。
それこそ最良のSEOであり、財産になります。

SEOのためにリンクを買うひとは少なくありません。確かに瞬間的には効果があるように見えることもありますが、ペイドリンク、お金で買ったリンクは急落する原因になります。

サイトへの信頼により、時間はかかるものの、自然に増えていく被リンクは、高い価値を持っています。
被リンクを増やすツールなどを使って、あるサイトはSEO効果が出て、別のサイトは逆に順位が下がってしまうことがあります。

そういう場合に調べてみると、効果が出たサイトは長年運営されてきたサイトで、たくさんの自然な被リンクを持っています。
対して逆に順位が下がったサイトは、サイトの立ち上げと同時に使っており、自然な被リンクのないところに急に増えた被リンクによって、スパムと判定されています。
どんな良いサイトでもスパムリンクは貼られうるため、良い被リンクの中に、スパムリンクがあっても、スパムと判定されることはありません。

しかし、良い被リンクを持っていなければ、不自然なリンクはすぐにスパムとみなされてしまいます。

訪問者の利益を考えてコンテンツ作成を

検索エンジンが新たなサービスや技術を開始した場合に、その意味を判断するにおいては、検索エンジンの視点に立って、訪問者の利益から考えれば、対応をまちがいません。

渡辺氏は、ユニバーサル検索、すなわち1つのキーワードで検索したときに、Webサイトのみならず、画像や動画、関連ニュースなど、さまざまな情報を一度に表示する検索サービスは、来年もっと増えてくると予想されています。

しかし、「動画が表示されるから、動画もサイトに入れなければ…」と考えるのはまちがいです。
たとえば富士山の高さを知りたい場合に、動画は要りません。

一方、ネクタイの締め方なら、動画が静止画よりもわかりやすいでしょう。
つまり、訪問者の利益、そのページに求められるものに合致した表現を選ぶべきだということです。

その他、短い時間では入りきらないほど多くのテーマを、渡辺氏はご用意くださり、示唆に富んだお話をしてくださいました。

【第二部】
「汝、隣人を愛せよ 〜いくら儲かっても、心が貧しいのはちょっと...〜」

≪講師≫

ブックオフオンライン株式会社取締役
他、数社の顧問・アドバイザーなど
河野 武(こうの たけし)氏

アフィリエイトは金儲けの手段だけではないはずです。
企業にとっても、アフィリエイターにとっても、ネット時代のフェアでフラットな関係構築のための手段として、もっと活用されるべきではないでしょうか。
「そんなんじゃクチコミしないよ」(技術評論社)というクチコミに関する鋭い考察と見識を示した著書を持つ河野氏が、混沌としたアフィリエイトマーケティング業界に喝を入れる講演をしてくださいました。

アフィリエイター側からもEC側からも知ったうえで…

河野氏は講演の最初に、アフィリエイトカンファレンスの場を「アウェイ」(対戦相手のホームグラウンドなど本拠地ではない地)とおっしゃっていましたが、実を言えば、河野氏はアフィリエイター側からも、EC側からも、アフィリエイトマーケティングをよく知る方です。

笑いを誘う自己紹介から始まり、まず、アフィリエイターとして作られたサイトをいくつかのサイトを紹介されました。
現存するものとしては、「Crossreview」という、商品レビューを書けて共有できるサービスがあります。
河野氏が得意とする、場を提供されるサービスのひとつです。

企業側としては、過去にはオンライン書店「ビーケーワン」、Movable Typeで知られる「シックス・アパート」、そして現在はCD、DVD、古本、ビデオの買取・販売で知られる「ブックオフオンライン」でアフィリエイトマーケティングに関わっていらっしゃいます。

愛と金儲けのマトリクス

いろいろ知る立場からアフィリエイトマーケティング発展の背景や現状についての説明をされた後、示されたのが「愛と金儲けのマトリクス」。
クロスする矢印の上に行くほど企業や商品への愛情が強く、左に行くほど金儲けが目的です。

まず、このマトリクスの上に、日本のアフィリエイト黎明期の歴史などを重ねて説明した後、今回の本題である最近の傾向「肉食系アフィリエイターの脅威」について話が始まりました。
マトリクスの右上、すなわち企業や商品への愛情が強く、金儲け嗜好は薄い部分にいるのが、河野氏の表現によれば、好きな賞品や企業を応援したい草食系アフィリエイターです。

左下、すなわち金儲け第一で、企業や商品に対する愛情はない部分にいるのが、問題の肉食系アフィリエイターです。

肉食系アフィリエイターをほっとけない

肉食系アフィリエイターは、金儲けだけが目的で、商品への愛はありません。
儲けるためなら何でもやります。
情報商材仕込みのやりかたで、スパムツールを使って、ワードサラダ(文法的には正しいものの、でたらめに言葉を組み合わせているため、意味が通らない、機械的に作成された文章)をはじめとする機械的な記事量産を行ったり、スパムコメントやスパムトラックバックを送りまくります。

彼らをほっといていいのでしょうか?
「ほっとけない!」
河野氏は力強く語りました。

肉食系アフィリエイターが増え続ける理由

なぜ、肉食系アフィリエイターは増えるのでしょうか?
「ECサイト(企業)は売れているから黙認し、ASPは売れるほど手数料が入るので、撲滅運動、啓蒙活動が不徹底だ」と河野氏は断じました。

しかし、ECサイトにリスクはあります。
肉食系アフィリエイターの放置により、そのECサイトは将来的にイメージダウンするでしょう。
善良なアフィリエイターとしても、好きなECサイトのイメージダウンを放置していいのでしょうか?

わたしたちにできること

河野氏は提案します。
肉食系アフィリエイター撲滅に向けてECサイト側はブラックリスト作り、パトロールの分担をして、情報を共有、自社のパートナーを啓蒙したり、友好的なアフィリエイトサイトを紹介することで、善良なアフィリエイター増やしていきましょう。

そして、河野氏とその協力者が運営する、ホワイトリスト(SPAMじゃないブログのリスト)づくりプロジェクト「ぽぷる」を紹介。

「Yes,we can」

次期アメリカ大統領オバマ氏の言葉を引いて、河野氏は講演を締めくくられました。

講演の後には、多くの質問が寄せられました。

まずアフィリエイターからは 「肉食系と草食系の境界線は?」
河野氏の答は難しいけれど、友達に対してはしないこと、「汚い」と感じることをやっている、ダークサイトにいるのが肉食系アフィリエイターだと答えられました。

ECサイトからは 「どこの分野に肉食系のアフィリエイターが多いのか?」
API公開している場合、自動ツールを利用しやすいため多いとのご回答でした。

ASPからは、日本アフィリエイト・サービス協会で、悪質な不正を行ったアフィリエイターの情報を共有していることについて説明がありました。

アフィリエイト支援会社の方からは、肉食系アフィリエイター率が聞かれました。
河野氏の感覚では、ブログでの登録がほとんどになった最近では、提携申請してくるアフィリエイターの3〜5割ていどが肉食系アフィリエイターだそうです。

司会者からの質問終了の宣言を押しての、アフィリエイトマーケティング協会の一員からの質問は 「アフィリエイターは何をすればいいですか?」
河野氏は、ダークサイトに落ちないこと、新人アフィリエイターへの啓蒙活動を行うことなどをあげられました。

第三部
「アフィリエイト市場調査発表及びASP of the Yearの表彰」

協会理事 野崎雷太

第3回目の「アフィリエイト・プログラムに関する意識調査 2008」の調査・分析結果の一部を、協会副理事長の野崎より発表させていただきました。

この調査は、アフィリエイトマーケティング協会および当カンファレンス参加者の中から調査協力してくださった方126名(以後「協会回答者」)を対象に行いました。

約半数はアフィリエイト歴3年以上

協会回答者は、半数弱がアフィリエイト利用経験年数3年以上、約37%が1ヵ月のアフィリエイト収入が5万円以上の方でした。

携帯でのアフィリエイトの利用については、利用しているひとが1/3強で、特に上級者に関しては、約半数が利用しているなど、携帯アフィリエイトの普及が進んでいることがわかりました。

Google Adsenseなどのコンテンツ連動型広告の利用は、約7割。
上級者では利用経験者も含めると、8割以上が利用しています。

リスティング広告利用経験者、つまり広告を出稿して集客したことのあるひとは、約4割。
特に上級者では半数以上が利用経験がありました。

ASPの評価にフォーカスした調査

ASPブランド認知率についての調査では、「楽天アフィリエイト」が100%という高い認知率を示す一方、ASPブランドの満足度は「リンクシェ ア」、「エーハチネット」、「バリューコマース」、利用率は「エーハチネット」、「バリューコマース」、「リンクシェア」の順で、この3社が上位を独占しました。

最も成果の上がっているASPは「エーハチネット」、「リンクシェア」が拮抗。

その他多くの設問で、ASPの評価を調査した結果を公開しました。

≪ASP of the Yearの表彰≫

協会理事長 柴田健一
協会理事 野崎雷太

アンケートの調査結果および、一般投票による投票結果からASP of the Yearの受賞ASPを決定しました。
結果はエーハチネット。

協会理事長 柴田が発表、表彰を行いました。


カンファレンス終了後、事前申込みをいただいていた100名の参加者で、懇親会を開催。

テーブルは、入り口で引いたくじで決定、知り合い同士がかたまることなく、席についていただきましたので、新たな交流が多く生まれたようです。

PRタイムには、EC、ASPなどが次々と立って、さまざまなPR合戦も繰り広げられるなど、アフィリエイトに関する、活発な意見交換と、楽しい歓談のひとときとなりました。

当日の様々な写真も公開されていますので、ぜひこちらもご覧いただければと思います。
参加者による第8回アフィリエイト・カンファレンスレポート

 

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